藍色の空間

魂にメスはいらない

『こころの処方箋』

 「耐える」だけが精神力ではない。心の支えは、時にたましいの重荷になる。――あなたが世の理不尽に拳を振りあげたくなったとき、人間関係のしがらみに泣きたくなったとき、本書に綴られた55章が、真剣に悩むこころの声の微かな震えを聴き取り、トラブルに立ち向かう秘策を与えてくれるだろう。この、短い一章一章に込められた偉大な「常識」の力が、かならず助けになってくれるだろう。(Amazonより)

 

私が「なるほど」と深く納得した章をあげてみる。

3章 100%正しい忠告はまず役に立たない

己を賭けることもなく、責任を取る気もなく、100%正しいことを言うだけで、人の役に立とうとするのは虫がよすぎる。

15章 一番生じやすいのは180度の変化である

このような現象をイメージで表現するなら、風見鶏でときどき何かの加減でクルッと回転しては反対向きになるのと似ているのではなかろうか。風が吹いているとき、それに抗して20度30度の方向に向くよりも、180度変わってしまうと楽なのである。つまり、何かの方向づけの力がはたらいているとき、逆転してしまう方が、少し変えるよりはまだやりやすいのであろう。

16章 心のなかの勝負は51対49のことが多い

こんなときに落ち着いていられるのは、心のなかのことは、だいたい51対49くらいのところで勝負がついていることが多いと思っているからである。

22章 自立は依存によって裏づけられている

自立ということを依存と反対である、と単純に考え、依存をなくしてゆくことによって自立を達成しようとするのは、間違ったやり方である。自立は十分な依存の裏打ちがあってこと、そこから生まれでてくるものである。

29章 生まれ変わるためには死なねばならない

肉体的死を回避しつつ、象徴的死を成就することが必要で、ただただ「死」を避けていたのでは何事も成らないのである。

34章 どっぷりつかったものがほんとうに離れられる

幼少時に母親とうまく「どっぷり」体験をもった人は幸福である。しかし、それがなくとも、人間はその後の人間関係や、その他の世界との関係で「どっぷり」体験をすることができるものである。それは、その人の個性と大いにかかわるものとして、創造の源泉となることもある。

35章 強い者だけが感謝することができる

他人に心から感謝する、というのことは大変なことである。まず、そのためには、自分が他人から何らかの援助や恩義を受けた事実を認めねばならない。弱い人はそもそもそのような現実の把握ができないのである。

47章 二つの目で見ると奥行きがわかる

カウンセラーというのは、常に二つの目で人を見ることが出来ねばならない。

48章 羨ましかったら何かやってみる

羨ましい気持ちが起こったら、それは自然に生じてきたことだから、よしあしを言う前にそれはそれと認めることにしよう。そして、いったいそれがどのあたりから来ているか、考えてみることにしてはどうだろう。(中略)その中で「羨ましい」という感情は、どの「方向」に自分にとっての可能性が向かっているかという一種の方向指示盤としての役割をもって出現してきているのである。

50章 のぼせが終わるところに関係がはじまる

のぼせているときは、相手の姿がよく見えない。自分の心の中の理想像や、親の像なんかと混同してしまっているのである。

 

こころの処方箋 (新潮文庫)

こころの処方箋 (新潮文庫)